彼女にかけた三度目の電話

「ごめん、寝てた?」

「今から寝ようと思ってたところ。どうしたの?」

「スピーカーに食われそうになった。」

「なにそれ。」

「そういう夢見た。」

断片的に彼女の言葉を思い出す。

「今日の声、ずいぶん落ち着いてるね。」

「そう?いつも通りだけど」

「でも、それがホントのミホな気がする。実はけっこう策略家でしょ。」

「秘密。ちょっとだけ見せてあげてもいいけど(笑)」

でも、彼女は本当は自分をさらけ出したいんだと思う。

「エロいね(笑)」

「まあ、今まで自分の考えた通りになってきたけど。」

「今、知ってるのは二人のミホで、あと二人くらい居ると思うんだけど。」

「うん、友達と遊ぶときとか、すごいテンション高い時とかあるよ。見たら引くと思う。」

「やっぱり?ミホって単純そうに見えるけど、実はけっこう複雑だから。」

「それ、言われたことある。」

「誰に?」

「中学の時の塾の先生、大学生。」

「ふーん、どんな人?」

「冷静で、客観的に物事見れる人。」

「男友達なんだ。」

「うん。この前遊んだらすごい楽しかった。」

「何して遊んだの?」

「私の誕生日で、友達の家で塾の友達のみんなに祝ってもらった。」

「じゃあ実はもう17歳か。お姉さんじゃん。」

「うん。実はね。でね、そのあと近くの公園で友達、みんなで少しお酒呑んで、花火してたんだけど、すごく楽しかった。」

「この時期に花火?」

「夏休みの話。花火しながら色々した。」

「色々ね。」

「うん、色々(笑)」

「エロいね」

「へへ」

その時、携帯の充電が切れる警告音がなる。

「ごめん、携帯切れる。」

その後、すぐに携帯の電源が切れた。

僕は彼女の声がグラデーションのように変わっていくのがなんだかステキに思えた。

いい夢を見れるだろうと思えて、なんだか夜が暖かかった。

BGM:Fantastic Plastic Machine - Why Not?

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